Gemini CLIとは何か・同じ形のツールに見えて中身が違う点
Claude Codeの記事で、ターミナルの中で動き、自然言語の指示を受けてファイルの読み書きやコマンド実行までこなすエージェント型のツールを見てきました。Google製のGemini CLIも同じくターミナルに常駐するエージェント型のツールで、見た目の使い方はよく似ています。ただし「形が同じなら中身も同じだろう」と思っていると、無料で使える範囲の太さと、ツール自体の作られ方の透明性という2点で、思っていたのと違う体験をすることになります。
同じ「ターミナル常駐エージェント」でも、無料枠の太さが違う
AIコーディングツールを無料で使おうとすると、すぐに機能や利用量の制限に当たるものだと思うかもしれませんが、Gemini CLIは個人のGoogleアカウントでログインするだけで、1分あたり60リクエスト・1日1,000リクエストという太い無料枠が用意されています。この無料枠には試用期限が無く、100万トークンという大きなコンテキストウィンドウを持つモデルをそのまま使えます。クレジットカードの登録も不要で、無料版であることを意識させないほどの太さが特徴です。
$ gemini
> このリポジトリの依存関係を全部調べて、脆弱性がないか教えて
無料枠(個人のGoogleアカウントでログインするだけ):
・1分あたり60リクエストまで
・1日あたり1,000リクエストまで
・コンテキストウィンドウ100万トークンのモデルが対象
・試用期限なし、クレジットカード登録も不要
ソーシャルゲームでたとえると、通常は無料配布キャラというと性能が控えめに調整されているものです。Gemini CLIの無料枠は、その常識からすると異例なほど太く、無料配布キャラなのに他のゲームの課金正式版キャラと同じくらいの性能を持っているようなイメージです。「無料版だから機能や利用量が絞られているはず」という前提でツールを比較していると、Gemini CLIのこの太さに驚くことになります。
オープンソースゆえに、内部の指示(システムプロンプト)まで公開されている
他のAIコーディングツールと同じく、Gemini CLI内部でモデルにどんな指示(システムプロンプト)を与えているかはブラックボックスだろうと思うかもしれませんが、Gemini CLIはApache 2.0ライセンスのオープンソースプロジェクトとしてGitHub上で公開されているため、内部で使われているシステムプロンプトのコードそのものを読みに行けます。プロジェクトごとにルールを教える仕組みも用意されていて、リポジトリ直下にGEMINI.mdというファイルを置くと、Claude CodeのCLAUDE.mdと同じように、セッション開始時に自動で読み込まれるプロジェクト固有の指示として扱われます。
# オープンソースなので、内部の指示そのものを読みに行ける
https://github.com/google-gemini/gemini-cli/blob/main/packages/core/src/core/prompts.ts
# プロジェクトごとのルールは GEMINI.md に書く
# (Claude Codeの CLAUDE.md と同じ役割)
多くのゲームでは、NPCの行動ロジックを決める内部資料は暗号化されていて、プレイヤーは中身を読めません。Gemini CLIはそれとは逆で、NPC(モデル)への指示そのものが、誰でも自由に閲覧できる公開の仕様書棚にそのまま置かれているイメージです。棚に並んだ資料を直接めくれるため、「なぜこの場面でこう振る舞うのか」を推測ではなく実物のコードで追える点が、内部資料が非公開のままのツールとの違いです。
よくあるはまりポイント:無料枠だからといって際限なく使えるわけではない
1日1,000リクエストという数字だけを見ると、個人の開発作業なら十分すぎるほど余裕があるだろうと思うかもしれませんが、エージェント型のツールは1回の指示の裏で何度もリクエストを重ねる点に注意が必要です。「このリポジトリ全体を調べて、問題を直して、テストを実行して」というような依頼1つでも、ファイルの読み込み・編集・コマンド実行のたびに個別のリクエストが発生するため、大きめのタスクを何度か繰り返すだけで1日の上限に近づきます。「無料だから実質無制限」という思い込みのまま作業を進めていると、作業の途中でレート制限に引っかかり、続きが翌日まで持ち越しになることがあります。
- 無料枠のレート制限
- Gemini CLIの無料利用における上限。1分あたり60リクエスト・1日あたり1,000リクエストが目安
- GEMINI.md
- リポジトリ直下に置く、プロジェクト固有のルールを教えるファイル。Claude Codeの CLAUDE.md と同じ役割を持つ
- オープンソース(Apache 2.0)
- Gemini CLI本体のソースコードがGitHub上で公開されているライセンス形態。システムプロンプトを含む内部の動作ロジックを読める
リポジトリ全体の調査や大規模なリファクタリングのような、裏で多数のリクエストが発生しそうな依頼は、一度に全部を頼まず、対象のディレクトリやファイルを区切って段階的に依頼すると、1日の上限に不意に引っかかるリスクを減らせます。作業の続きが翌日に持ち越しになると困る場面ほど、この区切り方を意識してみてください。
同じ形でも中身が違う理由が掴めたら、他のAIコーディングツールとも見比べてみると理解が深まります。(シリーズ一覧・GitHub Copilot・Cursor・Ollama・OpenAI API・Hugging Face・LangChain・Anthropic API・Zed・Devin)